2022年11月20日
土地なしの状態で注文住宅を建てるには?契約の流れを徹底解説!
土地を保有していない状態で注文住宅を建てる場合、まずは土地探しから始める必要があります。具体的にどのような手順を踏めばよいのか、本記事では土地なしで注文住宅を建てる方に向けて、基本的な家づくりの流れを紹介していきます。
結婚したり、家族が増えたり...と、さまざまな理由により、マイホームの購入を検討し始めた方のなかには、「まず何から手をつければよいのかわからない」と頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
特に、注文住宅で1から家づくりを行う場合は、業者選定に住宅ローンに間取り設計に...と、考えなければならないことが満載。すでに土地を持っていればまだ気が楽かもしれませんが、これから土地を購入する場合は、家づくりだけではなく土地探しにも目を向けなければならないため、その分、不安も大きいですよね。
そんな方に向けて、本記事では、土地なしの状態で注文住宅を建てる際の基本的な流れを紹介していきます。ポイントや注意点などを織り交ぜながら詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
依頼する業者によって細かいフローは異なりますが、土地を保有していない状態で注文住宅を建てる場合、基本的には次のような手順で家づくりを進めることになります。
Step1.資金計画
Step2.希望条件の整理
Step3.業者選定
Step4.土地探し
Step5.建築プラン・見積もり依頼
Step6.買付証明書の提出・住宅ローンの仮審査(事前審査)
Step7.土地売買契約の締結
Step8.仮契約
Step9.詳細設計・最終見積もり確認
Step10.建築請負契約の締結(本契約)
Step11.地盤調査の実施
Step12.建築確認申請
Step13.住宅ローンの本審査
Step14.着工
Step15.竣工・引き渡し
上から順に詳しく確認していきましょう。
Step1.資金計画
まずは、マイホームの建設にかけられる総予算を決めておきましょう。
<予算の決め方>
総予算=自己資金+住宅ローンの借入額
ちなみに「自己資金」とは、その名の通り、自己の所有する資金のこと。金融機関によっては、頭金なしのフルローンで注文住宅を建てられたり、土地購入費や建物建設費以外に発生する諸費用(仲介手数料や保険料、税金など)を住宅ローンに組み込めたりする場合もありますが、基本的に頭金や諸費用は現金で支払うケースが多いため、ある程度は手元に用意しておく必要があります。そのため、年収や貯蓄額などを踏まえたうえで、自己資金のうちいくら住宅資金に充てられるかを事前にしっかり検討しておきましょう。
また、マイホームを建てる際は、あらかじめ住宅ローンの返済計画を立てることも忘れてはいけません。無計画に住宅ローンを組んでしまうと後々返済が困難になってしまう可能性があるため、無理のない返済プランを立てたうえで、借入額を設定するようにしましょう。なお、住宅ローンの借入可能額は各金融機関のホームページなどでシミュレーションできるので、ぜひそちらもご活用ください。
マイホームの総予算が決まったら、具体的な予算配分を検討していきます。
土地探しから始める場合は、「土地購入費」「建物建設費」「諸経費」と大きく分けて3つの費用が発生するため、予算内でこれらの内訳を考えてみましょう。なお、注文住宅を建設する際の諸経費は、一般的に土地購入費+建物建築費の10%前後が目安とされています。ほかの2つよりも金額が小さく、意外と見落としやすい項目なので、あらかじめ総予算から諸経費分をマイナスしたうえで、土地と建物の配分を検討してみてください。
次に、マイホームの希望条件を整理していきます。
たとえば、階数や間取り、外観、内装、設備など。家族全員の希望条件を整理し、理想の家のイメージを固めておきましょう。ただし、必ずしもすべての希望を叶えられるとは限りません。土地の広さや予算の都合などにより何かを断念しなければならない場面も出てくるため、あらかじめ希望条件をリストアップしたうえで、優先順位を決めておくとよいでしょう。
また、土地から探す場合は、立地の条件も考えておかなければなりません。交通利便性や生活利便性、子育て環境など、建物だけではなく周辺環境もその家の住みやすさを大きく左右するため、土地選びで失敗することがないよう、立地の条件も忘れずにリストアップしておきましょう。
おおよその予算や希望条件が決まったら、作業を依頼する業者を探します。ちなみに、注文住宅の依頼先は「ハウスメーカー」「工務店」「設計事務所」の主に3つ。それぞれメリット・デメリットが異なるため、各業者の特徴を踏まえたうえで、依頼先を選定しましょう。
・ハウスメーカー
全国規模で事業を展開しているハウスメーカーは、大手ならではの安定感と安心感が魅力です。着工から完成までの期間が比較的短く、アフターサービスも充実しているので、工期や手厚いメンテナンスを重視したい方に向いています。ただ、その一方で、コストが高く、間取りや設備の自由度が低いというデメリットもあるため、費用を抑えたい方や設計にこだわりたい方は、次に紹介する工務店や設計事務所へ依頼したほうがよいかもしれません。
・工務店
特定のエリアを対象に地域密着型で営業を行う工務店は、比較的リーズナブルな価格設定になっているケースが多いです。ハウスメーカーに比べて工期は長い傾向にありますが、設計の自由度が高く、細かい要望にも応えてくれるため、細部にまでこだわった家づくりを実現できるでしょう。また、工務店には、その地域の特性を熟知したスタッフが在籍しているため、地元ならではの土地勘を活かした提案も期待できます。
・設計事務所
設計事務所に依頼する最大のメリットは、理想のデザインを叶えられる点です。費用がやや高く、工期も長くなりやすいですが、完全オーダーメイドで設計できるため、自由な発想で家づくりを行うことができるでしょう。
業者選定とともに進めておきたいのが、土地探しです。なお、土地探しの方法としては、主に以下3つの手段が考えられます。
・自分で探す
・不動産会社に依頼する
・施工業者(ハウスメーカー・工務店・設計事務所など)に依頼する
上記の通り、インターネットなどを活用して自分で探したり、土地探しのみ不動産会社に依頼したりする方法もありますが、施工業者のなかには土地探しからサポートしてくれるところもあるため、効率よく進めたい場合は、土地探しから家づくりまでワンストップで行っている業者に依頼するのがおすすめです。
希望の土地が見つかったら、施工業者に建築プランと見積もりの作成を依頼しましょう。なお、このタイミングではまだ1社に絞らず、複数の業者に相見積もりをとるのがおすすめです。設計図面や見積書を作成するにあたって料金が発生するケースもありますが、業者によって提案内容が異なるため、各社のプランや見積書を比較検討したうえで、依頼する業者を決めるようにしましょう。
依頼する施工業者と購入したい土地が決まったら、土地の売主もしくは仲介業者(不動産会社)に買付証明書を提出し、住宅ローンの仮審査(事前審査)を申請します。
ちなみに、「買付証明書」とは、売主や仲介業者に対して購入の意思を伝える書類です。「買受証明書」「購入申込書」などと呼ばれることもありますが、この書類を提出した段階ではまだ契約には至らず、ここから売買契約締結に向けた交渉が本格的に始まることになります。
なお、このタイミングで売主や仲介業者に対して値引き交渉を行うこともできますが、人気の土地はほかにも狙っている人がいる可能性があるため要注意。自分の要望を押しすぎてしまうと、売買自体が白紙になってしまったり、希望の土地が他者の手にわたってしまったりする恐れがあるため、慎重に交渉を進めるようにしましょう。
住宅ローンの仮審査(事前審査)を通過したら、重要事項説明を受けて土地の売買契約を結びます。
ちなみに「重要事項説明」とは、不動産取引において、宅地建物取引業者が契約に関する重要事項を買主・借主に対して説明することを指します。宅地建物取引業法(宅建業法)という法律で定められており、契約成立前に必ず、宅地建物取引士(宅建士)が書類(重要事項説明書)に記名したうえで、買主・借主に対して口頭で説明しなければなりません。
土地を購入するうえで非常に重要な手続きであり、曖昧な状態で契約してしまうとトラブルに発展してしまう恐れがあるため、書面の内容によく目を通し、納得したうえで契約を締結するようにしましょう。
なお、土地の売買契約では、手付金(土地代金の5~10%程度)や仲介手数料(土地代金×3%+6万円+消費税)、印紙税(契約金額によって異なる)などが必要になります。一般的に住宅ローンには含まれない諸経費に該当するため、思わぬ出費に慌てないよう、あらかじめ手元に用意しておきましょう。
土地の売買契約が済んだら、ハウスメーカーや工務店などの施工業者と仮契約を結びます。
なお、注文住宅購入時の「仮契約」とは、本契約の前段階で申し込みを行うことを指します。「仮」という言葉からなんとなく気軽なイメージを持たれるかもしれませんが、書面に記載されている内容には法的な拘束力が発生するため、しっかりと条件を確認したうえで契約を結ぶようにしましょう。
また、仮契約時には申込金(10万円程度)と印紙税(契約金額によって異なる)を支払うことになります。金額は業者によって異なりますが、どちらも自己資金から出すことになるため、スムーズに手続きを進められるよう、事前に用意しておきましょう。
仮契約後、施工業者と打ち合わせを重ねて、建築プランを固めていきます。
建物の外装・内装デザインや間取り、設備、性能など、将来の暮らしも見据えながら、細かいところまで詳細に詰めていきましょう。
建築プランが決まり、本見積もりが完成したら、いよいよ「建築請負契約(本契約)」の締結です。
一般的に、契約書は「建築工事請負契約書」「建築工事請負契約約款」「設計図書」「工事費見積書」の4種類で構成されており、発注者氏名、請負者氏名、工事内容、請負代金、支払方法、着工時期、完成時期、引き渡し時期など、さまざまな情報が記載されています。いずれもボリュームが大きく、契約当日にすべてを確認するのは現実的ではないため、事前に写しなどをもらっておき、契約後に後悔することがないよう、隅々まで念入りにチェックしておきましょう。
土地の売買契約を締結し、建物の建築プランが固まったら、地盤調査を実施します。
ちなみに「地盤調査」とは、建物の建築前に地盤の状態を確認する作業のこと。建築予定の建物の重さに耐えられる土地か、液状化の危険性はないかなど、その土地(地盤)の状態や強度を確認し、軟弱な地盤だと判断された場合は、必要に応じて地盤改良工事を行うことになります。
作業自体は施工会社が行うので、基本的にはお任せで問題ありませんが、その費用は建築主が負担することになるため、地盤調査を行うタイミングや金額については事前に確認しておきましょう。
建築請負契約の締結後、忘れずに行わなければならないのが建築確認申請です。
「建築確認」とは、建築予定の建物や地盤が建築基準法に適合しているか、そのほか各種条例を守っているか、などを確認することを指し、自治体や民間の指定確認検査機関にその作業を依頼することを「建築確認申請」と呼びます。
建築前と建築後の2回行う必要があり、1回目(建築前)の確認が終了すると「建築確認済証」が、2回目(建築後)の確認が終了すると「検査済証」が交付されます。どちらも重要な書類ですが、特に1回目に交付される「建築確認済証」は、住宅ローンの本審査で提出が求められるため、早めに申請したいところ。とはいえ、申請自体はハウスメーカーや工務店などが代行するケースが多いので、施工会社に任せておけば問題ありません。ただし、建築確認にかかる費用(手数料)は建築主が負担することになるため、その点だけ注意が必要です。
土地の売買契約、建築請負契約(本契約)、建築確認申請(建築確認)がすべて完了したら、住宅ローンの本審査を申請します。本審査では、土地の売買契約書、工事請負契約書、建築確認済証など、物件関連書類の提出も求められるため、それぞれの写しを手元に用意しておきましょう。
住宅ローンの本審査も無事に通過したら、ついに工事開始です。あとは家の完成を待つのみ...と思いたいところですが、地鎮祭や上棟式、近隣へのあいさつ回り、引っ越しの準備など、工事期間中にもやることがたくさんあるため、引き続き施工業者と連携を取りながら、入居へ向けて計画的に準備を進めていきましょう。また、実際に施工現場を見学できるケースも多いので、工事期間中に現場へ足を運んでみてもよいかもしれません。
Step15.竣工・引き渡し
工事が終わったら、現場監督や施工業者の担当者とともに設備の確認や傷・汚れのチェックを行います(完成立会い)。補償内容にもよりますが、引き渡し後に不具合が発覚した場合は追加で修理費用が発生する可能性が高いため、隅々までしっかりとチェックし、不具合が見つかった場合は、遠慮なくその場で修理を依頼しましょう。
また、工事完了後は、前述した通り、自治体や民間の指定確認検査機関による「建築確認」も行われます。こちらも無事に通過し、完成立ち合い時に発見した不具合の修理なども終えたら、いよいよ建物の引き渡しです。家の鍵や保証書を受け取り、マイホームでの生活をスタートさせましょう。
最後に、土地なしで注文住宅を建てる際に意識しておきたいポイントを2つ紹介します。
・土地探しに入る前に資金計画を立てる
・業者選定と土地探しを同時に進める
それぞれ見ていきましょう。
土地を持たない状態で注文住宅を建てる場合は、まず資金計画を立てることが重要になります。おおよその予算を決める前に土地を探してしまうと、建物にかけられる予算が少なくなってしまったり、予算を大幅にオーバーしてしまったりする可能性があるため、あらかじめ家づくりにかけられる予算を把握したうえで、土地探しに着手するようにしましょう。
初めて家づくりを行う場合は、業者選定と土地探し、どちらを優先すべきか悩んでしまうかもしれませんが、可能であれば、どちらも並行して進めるのがおすすめです。どうしても確保したい土地がある場合は、先に土地を購入してしまってもよいかもしれませんが、土地の形状や広さによっては希望の建物を建てられない可能性があります。
前述したように、施工業者によっては土地探しと家づくりをワンストップで行っているところもあるため、土地の条件と建物の条件をあわせて提示し、希望の土地で理想の建物を建てられるかどうか確認したうえで、土地と業者を決定するようにしましょう。
ここまでお伝えしてきたように、土地なしの状態で注文住宅を建てる場合は、やらなければならないことが山ほどあります。無計画に着手してしまうと、余計に費用がかかってしまったり、希望が叶えられなかったり...と、悔いの残る家づくりになってしまうため、動き始める前に、必ず計画を立てるようにしましょう。
なお、弊社では、千葉県匝瑳市・旭市・横芝光町を中心に注文住宅・リフォームを承っております。土地探しから家づくりまで、トータルでサポートしておりますので、土地探しのこと、注文住宅のこと、住宅ローンや資金計画のことなど、住まいのことで何か気になることがあれば、お気軽にご相談ください。